いくさの可能性

妻も子供もいるが、使命感に後押しされて身の危険を顧みずに何かを行う。
こういう行為が賞賛される。

いま原発で作業している人がそういう状況である。

一方で、自衛隊、機動隊はどうか。機動隊もそうである。
すると、りんねさんがご紹介いただいたいしだ壱成さんのブログで原発反対デモを鎮圧した機動隊の皆さんはどうか。当然そうだったはずである。家族を持ち、使命感に燃えて、身の危険を顧みることなく、デモを鎮圧したはずである。
そういうことが、たとえば成田空港の土地収用のときにも起こった。土地収用に反対する農民たちが木に自分たちを縛り付けて抵抗したのに対し、放水し、武器をふるって戦った。

そして、そのようなことが起こった場合、警察や裁判所や政治は、体制側に味方する。

今回の原発事故はどうか。

電力会社がある。交付金がもたらされる。税金が落ちる。警察にも多分お金が渡るだろう。政治家も関係している。知事や議員が電力会社から献金を受け取る。
つまり、事故さえなければ、政府・自治体・地方組織などは、誰も損をしない。大きな事故がなかったから、次第に原発反対運動は利益のほうに飲まれていったのだろう。

いま、東電で働いている人に対するネットの意見は微妙だ。原発で危険な状況で作業していることに対する、惜しみない賛辞というものがある。一方で危険な原発を推し進めたということに対する責任追及の声がある。

原発停止を求めたり、新規原発建設反対を求めたりするデモがあって、体制側が押さえようとしたときに、どうなるか。
体制側の人間が家族を持ち身の危険を顧みず任務を遂行したとして、デモする側も相手がそういう人間だとわかっている。
機動隊もデモ隊に対して近くの立派なおっさんがやっているとわかっている。
お互いに尊敬しつつ、相手を暴力的に従えようとする、場合によっては命を奪う、ということになったとしたら、これはいくさだ。
だって、地元の人は子孫のこともあるのだし、死活問題じゃないか。黙っていられない人が出てきてもおかしくない。そして、そうなれば多分裁判所や警察は機動隊の味方をする。いかに機動隊が暴力的な行いをしたとしても。

原発もそうかもしれないが、今回の災害はあまりにも規模が大きすぎて、先々で国の仕組みというものがいきわたらなくなる可能性はあると思う。

以前平将門を主人公にした「風と雲と虹と」という大河ドラマがあった。加藤剛さんが主演で佐野浅夫さんが国香役だったと思うが、ドラマ開始とともに富士山の爆発のシーンがあったと思う。
以前から現代と平安時代が似ていると感じていて、私も漠然と「次は武士かな？」などと以前書いていたが、あり得るかもと思える状況になってきた。

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