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福島第一原子力発電所の事故において、管総理が東電を視察したことによって被害が大きくなった、という意見をあちこちで見かける。
通常であれば、現在事故が実際起こったわけだし、総理大臣が初期の段階で視察したというのは褒められることのように思える。しかし、あるいはそういうことがあったのかもしれない。
ベント作業というのは、原子炉内部の放射性物質を外部に逃がす排気作業のことである。
京都大学の小出裕章助教のご説明を聞いていると、どうやら最初はそういう機能はついておらず、危険だということで後でつけられた機能であるらしい。実際に行われたのは今回が始めてである。
新聞記事を見てみる。
産経が4月9日に「ベント作業 10時間ロスで致命傷」という記事を出している。
海江田経産相がベントを表明したのは12日午前3時05分で放出が行われたのは午後2時半でだったが、遅れの最大の理由は、12日朝の菅直人首相の視察ではなく、電源喪失であり手作業によるベント開放に手間取ったと報じている。
毎日には 4月9日 『検証・大震災:原発事故2日間(1)東電動かず、首相「おれが話す」』という記事がある。
すでにベントの指示が出され、原子力安全委員長は総理に、原発は安全だ、構造上爆発しないと進言したが、首相は見に行った。そして視察をして首相は周囲に「原発は爆発しないよ」と話した。
次に国会答弁を見てみよう
3月28日 原子力安全委員会の班目委員長が首相の行動が影響があったとは承知していないと否定
3月29日 首相本人が否定
4月18日 清水社長が菅総理の訪問による作業への影響を否定
4月25日 清水補佐官が官邸が早くから決定していたベントの対応が遅れたことについて東電を非難
公になっているソースの中で、管総理が視察したからベント作業が遅れた、といっている記事はない。唯一それらしいことを言ったのが原子力委員会の青山繁晴専門委員で、5月13日の参議院予算委員会で菅首相の訪問の連絡がベント開始の9分前にあった、というものである。
ではなぜ首相が訪問したから対応が遅れた、という意見があちこちにあるのだろうか。
実は、その青山繁晴専門委員は、実はテレビ番組にしょっちゅう出てる人なんですかね。
そして3月16日の時点で、彼自身が首相が訪問したことによって対応が遅れたと非難しているのである。
3月16日といえば、地震が起こって原発が相次いで爆発し、世間的にも、また官邸や東京電力においても最大の緊張状態にあったときだ。
さらに青山委員はこのときに「チェルノブイリのようなことには絶対なりません」「肌をさらすな、換気扇も回すななどといわれていますが、ぜんぜん心配することはありません」とも言っている。
この方は、また自ら原子力推進の立場に立つと公言していて、自分が社長をしている会社で東京電力とも取引がある。安部内閣のときに専門委員に引っ張られて、政府自民党から受注を受けていたというのも本当のようだ。
しかし、4月22日には自ら福島原発を訪問し内部の映像を取ってきたり、吉田所長と面談したりして来られた。
実際には、世界は福島の原発事故はチェルノブイリと同等かそれ以上だと考えるようになってきて、政府もしぶしぶレベル7を認めた。関東平野にかなりの汚染が広がっているということも事実である。多くの知識人が安全だということを繰り返したおかげで東京を含むかなりの範囲の人が被曝を余儀なくされた。日付的には、青山氏が発言した3月16日ごろが実はもっとも危険だったのだ。
さらに天皇陛下が相馬市においでになって、雨の中を傘もささずに被災地に一礼された。
総理大臣は、選挙を落ちればただの人だ。霞ヶ関の官僚はサラリーマンだ。しかし、天皇陛下はそういうわけにはいかない。
今回の震災で両陛下は被災地を訪問された。かつてないことだ。ご自分が動かないわけにいかないとお考えになったのだろう。
しかし、今両陛下や皇太子ご夫妻、愛子様に被曝があってはならないと私は考える。
おそらく真実はこうだったのではないだろうか。
民主党は、小沢一郎と組むまでは、反原発を掲げる党であって、原発推進の人間にとって菅直人はきわめて都合の悪い人物である。今回も浜岡原発の停止要請を打ち出したりして、電力会社は大幅な損失を迫られた。
青山委員が3月16日時点で仰ったことは、総理の訪問が作業を遅らせたという点は別にしたとしても、ことごとく見込み違い、あるいは嘘であることがすでに判明した。原発は危険だった。チェルノブイリと同等かそれ以上の汚染が広がった。
彼は政治的な思惑でもって一連の発言をしたのである。発言はうまく行って、菅おろしが声高に叫ばれるようになった。
ところが事態は青山委員の思惑とは違うほうに進んでいった。次々原発は悪化し、ロシアすら浜岡に原発を建てた日本の政策を揶揄するようになった。一方で東電やら関係者が一向に菅直人の訪問で事態が悪化したと証言してくれない。
自分の立場が危うくなった青山氏は直接吉田所長から証拠をつかもうと無理やり福島第一原発視察を設定した。こう考えるとその後の官邸とのやり取りも納得できる。
簡単にいうと、誰かが仕組んだデマに国民はまんまと騙されたのである。
別に思想信条は何を持っていただいてもいい。
私自身何もかも民主党を認めるわけではない。京都にいたから、前原さんに起こったようなことも容易に想像がつくし、それを追求した西田議員は立派だったと思う。心情的に分かってもなあなあにしてはいけない問題は存在する。
それに東京電力から金をもらっちゃダメだということもいえない。社長やってるんだから、おいしい客に決まってるし、事故さえ起こさなければ電力会社は国産超優良顧客なのだ・・・ああ、私自身もあるなあ、そういえば。
だが、この緊急事態にガセネタを流して政局に利用した結果、天皇陛下まで被曝の危険にさらすような人間を認めるわけにはいかない。
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